
Bored Ape Yacht Club(BAYC)を手がけるYuga Labsは、2つのゲームプロジェクトの知的財産権をWeb3ゲームスタジオFarawayへ譲渡するという重要な戦略決定を行いました。この決定は公式プラットフォームで発表されました。対象となるHV-MTLとLegends of the Maraは、Yuga Labsのゲームエコシステムの要となるタイトルであり、コミュニティ内では今後のゲーム事業の方向性や一部プロジェクトの継続性に関する疑問も生じています。今回の移転に伴い、Yuga Labsの元最高ゲーム責任者であるSpencer Tucker氏がFarawayの最高プロダクト責任者に就任し、運営の継続性と新体制での円滑なゲーム展開を図っています。
HV-MTLはNFTを活用した「メカ」ゲームで、プレイヤーはNFTの管理や成長、環境の開発・カスタマイズを主体的に楽しめる設計です。これによりNFT保有者が自身のデジタル資産と積極的に関われるダイナミックなエコシステムを実現しています。一方、Legends of the Maraは、Yuga Labsが展開するバーチャルワールド「Otherside」メタバースと連携するアドベンチャーゲームであり、同社のコミュニティ向けデジタル環境拡大への取り組みを象徴します。Yuga LabsとFarawayは、過去にMutant Ape Yacht ClubをテーマにしたSerum Cityを共同開発した実績があり、Web3ゲーム領域での連携とビジョンの共有が強みです。
今回のゲームIP譲渡は、BAYCチームの「解放」と業務効率向上を目指す組織改革の一環です。Yuga Labs共同創業者Greg Solano氏がCEOに復帰した際、この取り組みが正式に始動し、業務の効率化が最優先事項となっています。Solano氏は「YugaのBAYCチームがビジョン実現のため、最大限自由に活動できるようにしたい。より集中し、より俊敏に。」と述べ、BAYCチームの自律性強化を強調しました。この再編により、Yuga Labsはノンコアのゲーム資産を切り離し、主力コレクションに集中することで、効率的かつ迅速な意思決定と市場対応が可能となります。Farawayへの譲渡によって、より専門的なゲームスタジオがプレイヤーコミュニティへのサービスを強化し、Yuga Labsは主軸コレクションにリソースを集中できます。
Yuga Labsが事業効率化を進める背景には、NFT市場全体の激しい変動があります。NFT分野は大きな市場サイクルを繰り返しており、BAYCも市場変動の影響を大きく受けてきました。2022年のピーク以降、BAYCのフロア価格は大きく上下し、デジタルコレクティブルに対する投資家心理の変化が表れています。こうしたボラティリティはNFTプロジェクトにとって厳しい環境を示しており、戦略的な事業再編の重要性を裏付けています。また、Yuga Labsは事業方針や買収に関するコミュニティの反応にも柔軟に対応し、ポートフォリオ変更時の信頼維持と透明な情報発信が不可欠となっています。
HV-MTLとLegends of the MaraのFarawayへの譲渡は、Yuga Labsが組織効率とオペレーショナルフォーカスを追求する戦略的転換を示します。Web3に特化したゲームスタジオへIPを移すことで、同社はBAYCコレクションに資源を集中させ、Farawayのゲーム開発力と両社の協業関係を最大限活用できます。NFT市場が不確実な状況にある中でも、この再編は集中と俊敏性を重視する経営判断に基づいています。組織再編により、Yuga Labsは市場変動への柔軟な対応と戦略的パートナーシップによるコミュニティ連携を強化し、コア資産とビジョンの持続的発展を目指します。











