バイナンスのCZがPeter Schiffと真っ向から激論:ビットコイン vs ゴールド、果たしてどちらが勝つのか

バイナンス創業者のCZと著名経済学者であり金の強気派として知られるPeter Schiffが正面衝突し、「ビットコイン vs ゴールド」をテーマに激しい議論を展開しました。満場の仮想通貨関係者を前に、CZは自身がホームの利を持つことを率直に認め、Schiffが議論の場に立つ勇気を称賛しました。一方、Schiffは「長年Michael Saylorとディベートしたかったが、ずっと断られてきた」と皮肉を交えつつコメント。両者は「トークン化ゴールド」から通貨の本質や投機論争まで、次々と火花を散らしました。

トークン化ゴールド登場、デジタル版は本物の通貨に近い

議論の冒頭、CZはまずSchiffに自身のトークン化ゴールド計画について説明を求めます。Schiffはt-gold.comを通じて現物の金・銀の売買と保管サービスを提供しており、「分帳・独立保管((Allocated))」方式を採用。顧客は現物のゴールドを真に所有し、金庫が代理で保管しているだけだと述べました。

将来的に顧客は売却して米ドルに換えたり、金の延べ棒を引き出したり、ゴールドをオンチェーンのトークンへ交換して自身のウォレットに保管または取引所で取引することも選べます。Schiffはトークンを「ロッカーの番号札」に例え、「金は金庫にそのまま、ブロックチェーン上では所有権が移動する」と説明。この仕組みによりゴールドの分割・携帯・支払いの不便さを解消し、「流通可能なデジタルゴールド通貨」になれると考えています。

紙幣の歴史を振り返り、トークン化ゴールドはデジタル金本位制に似ている

続いてSchiffは「トークン化ゴールド」を通貨進化の歴史に当てはめて説明。昔、人々は金を鍛冶屋に預け、受け取るのはIOU(借用書)の紙切れで、それを持っていれば金と交換できたため、次第に金本位制の紙幣のように流通するようになったと振り返りました。その後、政府が紙幣発行を引き継ぎ、金本位制下では紙幣を銀行で現物の金に交換できたため、皆が紙幣に価値を信じていました。

しかし各国が金本位制を廃止し、紙幣は金と交換できなくなり、完全に信用だけで支えられる法定通貨となりました。Schiffは「ビットコインこそ『金に頼らず信念で支えられる』通貨に近い」と指摘。逆にトークン化ゴールドは「兌換紙幣」をブロックチェーンに持ち込んだもので、紙をトークンに置き換えただけだと説明。発行主体が政府でなくとも信頼できる民間機関であれば「デジタル金本位制」版トークンを発行できると強調しました。

(注:IOUは簡単な借用証書で、債務を認めるもの。誰がいくら借りたか、署名のみで、手形のような明確な返済期限や正式な法的形式はない。現金、物品、サービスなどに使え、最も基本的な個人間の借用証明。)

バーチャル=無価値ではないが、用途が不可欠

CZの番になると、デジタル世界の価値について語ります。XやGoogleなどのデジタルサービスは実体がなく手で触れられませんが、市場で高く評価されている、ビットコインも同様で、本質はブロックチェーン上に積み重なる「取引記録」であり実体はないが、それでも価値があると指摘。

Schiffも無形資産に価値があることは否定しませんが、「用途」こそが本質と強調。ゴールドには物理的特性があり、工業・宝飾・電子製造・中央銀行準備などで必要とされ、腐食せず千年単位で使える。一方、ビットコインには「それでなければならない」用途はなく、主な需要は投機家が将来より高値で売れることを期待するもの、と指摘。よってビットコインに市場価格はあっても内在価値はないと結論付けました。

ビットコインの供給固定とゴールドの緩やかな採掘、希少性が焦点

供給についてCZは、ゴールドの供給量は不確定で将来大鉱脈が見つかったり技術革新で供給量が変わる可能性があると指摘。一方、ビットコインは2,100万枚と固定され、Satoshiへの分割数も有限。

Schiffはこれに対し、人類は数百年も錬金術を試みてきたが低コスト大量生産には至らず、ゴールドの年間供給増加率は長期で約1%と非常に安定していると反論。ビットコインは上限設計があるとはいえ歴史が短く、何世代にも価値を維持できるかは未知数だと述べました。

(注:Satoshi(Sat, 聡)はビットコインの最小単位。1BTCは1億Satoshiに分割可能。)

通貨の定義論争、計算単位が最大の分岐点

CZは多くの人がビットコインを既にお金として使っていると主張し、会場の多くの観客も同意して手を挙げました。Schiffは教科書的な定義に立ち戻り、特に「計算単位」としての機能に着目。世界中の商品や給与がほとんどBTC建てで表示されていない、ビットコインで給料をもらう場合も多くはドル額が先に決まり、それをBTCに換算しているだけ、と指摘。

この状況下ではビットコインはまだ真の通貨とは言えないと述べました。CZは「教科書の定義が唯一の基準ではない」とし、ビットコインがバイナンスの契約や投資協定で計算単位として直接使われている例もあるとして、市場での使われ方も議論に含めるべきと主張しました。

価値保存論争、ゼロ内在価値 vs 15年の値上がり

Schiffはビットコインの上昇は全て投機資金によるもので、内在価値を示すものではないと主張。ゴールドは実用途があり千年単位で価値が持続するが、ビットコインの需要は市場の信念に依存し、信念が崩れれば価値はゼロになると強調しました。

CZは「ビットコインは15年間で明確な上昇トレンドを示している。長期保有者にとっては『価値保存』の役割を果たしている」と指摘。全ての保有者を短期投機家とみなすのは市場実態を無視していると反論しました。

価格支持の源、富の移転 vs 市場の常態

Schiffは「ビットコインの急騰は後から参入した人が早期保有者にお金を渡しているだけで、市場の本質は『富の移転』で新たな価値創造ではない」と主張。多くの後発参入者は現時点で損をしていないように見えるが、市場の流動性がなくなれば損失が現れると述べました。

CZは「同様の現象は株式、不動産、ETFなど様々な市場で見られるもので、だからといってビットコイン自体の価値を否定することはできない」と反論しました。

中央銀行準備比較、暗号と伝統システムの分岐

Schiffは中央銀行が依然としてゴールドを準備資産とし、為替を支えているため、ゴールドは世界金融システムで不可替な役割を果たしており、ビットコインがその地位を奪うことはないと主張。

CZは「暗号資産の世界は中央銀行とは独立したシステムを形成し、中央銀行の裏付けなしでも機能する。ビットコインの価値はその技術とグローバルな自由流通性にある」と述べました。

ゴールドとビットコイン、勝者は市場と時に委ねる

議論の最後、両者は互いに相手を説得できないことで同意。Schiffは「ゴールドこそが内在価値を持つ真の価値保存資産であり、ビットコインは最終的にゼロに戻る」と主張。

CZはSchiffのトークン化ゴールド計画の成功を祈りつつ、「ビットコインは長期的にゴールドを上回ると信じている」と述べました。両者は握手して議論を締めくくり、最終的な答えは市場と時間に委ねることにしました。

議論の中で興味深かったのは、CZが金の延べ棒を取り出してSchiffに本物かどうか確かめてもらうシーンがあったことです。

(注:Peter SchiffがCZ(趙長鵬)に公開挑戦!世紀のディベート:ビットコイン vs トークン化ゴールド、貨幣条件を満たすのはどちらか)

この記事「バイナンスCZ、Peter Schiffと真っ向ディベート:ビットコインvsゴールドの勝敗は?」は、最初に鏈新聞ABMediaに掲載されました。

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