28日の16時27分にマグニチュード7.1の地震が発生した後、TSMCの熊本工場は一時的に操業を停止した。同社は安全プロトコルに従って全従業員を避難させ、建物の構造健全性を確認した上で、生産を段階的に再開した。熊本施設はロジック半導体を生産しており、TSMCの総生産能力の4%未満であるため、世界のメモリーチップ供給への直接的な影響は限定的だ。
九州電力のサービスエリアで約48,000世帯が停電を経験し、新幹線と航空便の運航が停止された。震度は震源地で7、工場所在地の菊陽町で5を観測した。ここにはTSMCの日本法人JASMがある。同社は生産再開前に建物の構造検査を完了しているものの、詳細な設備評価と影響評価は継続中だ。第2工場の建設現場では直接的な損傷はなかったが、余震に備えるため、一部の建設作業は一時的に中断された。
TSMCの熊本工場は総能力の4%未満
TSMCの年次報告によると、JASMの第1工場は12/16ナノメートルおよび22/28ナノメートルのプロセスに基づき、月間の生産能力が12インチウェハ55,000枚だ。施設は主に自動車、産業機器、イメージセンサー向けの周辺ロジック用途の半導体を生産している。TSMCの総生産能力は2025年において年間で1,700万枚超の12インチウェハ換算に達するため、熊本の第1工場の比率は単純計算で4%未満となる。現在製造されている製品は、AppleやNVIDIAが使うような先端プロセッサではない。建設中の第2工場は、2028年から3ナノメートル半導体の大量生産を行う計画を進めている。
構造健全性があってもウェハ損失が発生
半導体工場は、建物に構造的な損傷がなくても生産損失を被ることがある。強い振動や一時的な電圧低下が、仕掛中のウェハを損傷する可能性があり、フォトリソグラフィー、エッチング、成膜装置の高精度な位置合わせに加えて、自動搬送システム、ガス、真空、超純水設備も再検証が必要になる。2016年の台湾南部地震では、TSMCの施設は構造や電力・水・ガス供給に深刻な損傷は受けなかったが、仕掛中の損傷と設備復旧の遅れにより、約10万枚の12インチウェハと2万枚の8インチウェハの納入が翌四半期に延期された。これに対し、2024年の台湾東海岸沖の花蓮地震では、設備の復旧は10時間以内に70%超が完了し、3日目までに全設備が正常化したが、それでも同社は約30億台湾ドルの損失を記録している。2016年の熊本地震は、損傷が深刻な場合に復旧にどれほど時間がかかり得るかを示した。ソニーの熊本工場は約1カ月後にウェハの加工を再開したものの、地震前の投入レベルに戻ったのは7月下旬になってからだった。
東京エレクトロン、29日まで熊本の操業を停止
半導体製造装置企業の東京エレクトロンは、熊本エリアの2つの工場で29日まで操業を停止した。ソニーと富士フイルムも、九州の半導体クラスター全体で検査が進む中、従業員を避難させた。余震や輸送の混乱が長引けば、装置部品の供給、現地エンジニアの派遣、保守スケジュールに遅れが生じる可能性がある。TSMCの株価は前日、台湾証券取引所で2.98%下落した。TSMCの米国預託証券(ADR)は日中で最大4.5%下落したものの、終値は約1%下落にとどまった。
FAQ
28日にTSMCの日本工場で何が起きた?
28日の16時27分にマグニチュード7.1の地震が発生した後、TSMCの熊本工場は一時的に操業を停止した。同社は安全プロトコルに従って全従業員を避難させ、建物の構造健全性を確認した上で、生産を段階的に再開した。
熊本工場はTSMCの生産能力のどれくらいを占める?
熊本の第1工場は月間の能力が12インチウェハ55,000枚だ。TSMCの総生産能力は2025年において年間で1,700万枚超の12インチウェハ換算に達するため、熊本工場は単純計算で総能力の4%未満となる。
なぜ東京エレクトロンは地震後に操業を停止した?
東京エレクトロンは、地震後の安全検査の一環として、熊本エリアの2つの工場で29日まで操業を停止した。ソニーと富士フイルムも、九州の半導体クラスター全体で検査が進む中、従業員を避難させた。